リトグラフとは
リトグラフは別名「石版画」とも呼ばれ、版材に油性の描画材を使って、直接絵柄を描き、その上に科学的な処理を施すことで、絵柄の部分にだけインクを盛り、神に刷りとる版画技法です。
版材にはもともと「リトグラフ」の語源にもなった石灰石が使われていました。リトはギリシャ語で石の意味です。
現在は版材として、軽くて持ち運びのしやすいアルミ版が主に用いられています。
リトグラフ(石版画)の基本的な仕組みは、版の表面に化学的な処理を施し、インクを引きつける描画部分と、水分によってインクを弾く部分に製版し刷り上げていきます。この製版が正確に行われなければ作品は仕上がりません。
しっかりした下絵・正確な製版技術・確実な刷りの技術が何よりも重要です。
復刻美術品におけるリトグラフの作品はこれらの緻密な技術が、その作品の再現性、そして仕上がりの美麗さと品質の高さ、耐久性を裏付けるものとなります。
リトグラフの歴史
リトグラフ(石版画)は、18世紀末にドイツのアロイス・ゼネフェルダーにより考案された版画の技法です。版画の中では「平版」と呼ばれる技法で、木版画や銅版画で用いられる「凸版」や「凹版」と違い、版の表面に凹凸をつける必要のない画期的な技法として普及していきました。
19世紀には、ジャーナリズムの台頭もあり、新聞や雑誌などで多く使われ広まっていきました。
リトグラフ(石版画)を手がけた著名な画家には「ピカソ、シャガール」などが挙げられます。
日本にリトグラフ(石版画)が入ってきたのは、幕末から明治初期にかけてのことです。当初は美人画、風俗画など民衆的な刷り物や商業印刷物に多く使われました。しかし次第に美術家達の興味を引いていき、大正時代から昭和にかけて、美術作品として多くの作品が作られるようになりました。
*参考文献:株式会社文遊社「版画 - 進化する技法と表現」
http://www.bunyu-sha.jp